42年間変わらない味味吉亭

No.02

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冷凍、作り置きなし!

42年間変わらない

懐かしい味の洋食屋さん

鶴来街道に面した、赤い看板が目印のお店「味吉亭」。外観は昔ながらの定食屋さんといったそのままの雰囲気。気を抜くと通り過ぎてしまいそうになるが、そこは田舎道。しっかりと確認しつつお店までたどり着いた。今日はどんな絶メシに出会えるのだろーか。わくわくの中、お邪魔しました!


(取材:絶メシ!いしかわ調査隊 ライター名:美緑トモハル)

金沢から鶴来へと移転!
常連さんに助けられて42年

ライター美緑
「こんにちは~」
北村さん
「なんや、こんなにおるんか?いじめんといてや~」

なんだか可愛らしい方でほっこりです。

店内がレトロでかわいい!タバコの自販機・・・小さい頃に見た記憶があるけど、まだあるんだ。

カウンターにある置物も、あのペンギンのキャラクターも懐かしい!

なんだかキョロキョロしてしまう。
ライター美緑
「味吉亭さんは、何年程やられているんですか?」
北村さん

昭和51年からやから・・・42年になるんかな。最初は金沢の方で8年ほどお店を出してたんやけど、

周りの環境が騒がしく感じるようになって、なんの縁もなかったけど、ここに来たんや」

ライター美緑
「移転されてから、お店はすぐ軌道に乗ったんですか?」
北村さん

「そうやね。ありがたいことに、常連さんもこの辺の人も多くいてくれたから、わりとすぐお店は繁盛したかな

のどかな金沢でも、やはり激しい時代はあったわけで。

小さなお子さんがいた北村さん夫婦は安息の地を求めて、知らない土地へとやって来た。それでも、人との縁は途切れることなく、この鶴来で30数年。長い。

メニューの内容も味も価格も当時からほとんど変わっておらず、来てくれるお客さんは常連さん多め。そのメニューの中で唯一、店名の入ったものを発見した。味吉亭焼。イカの入った野菜炒めでお店でも人気があり、お母さんも大好きでおススメなんですって!

北村さん

「シンプルな野菜炒めや。簡単やから、お客さんもここで食べてから家でも作るみたいよ」

ライター美緑

「作り方教えちゃうんですか!?」

北村さん

「そーやね。でもやっぱりお店の味にはならんって言われるわ

「愛情と言う名のスパイスかな?てへへ」なんて寒いセリフが浮かんだりしたが、

自分の身を案じて言葉にするのを飲み込んだ・・・あぶなっっ!!

変わらない、当たり前。
それが意味するここにしかないもの

ライター美緑

「このスパカツも美味しそうですね~。これ、食べたい」

おっと心の声が漏れ始めた。
北村さん

「そしたら、作るか?」

ライター美緑

「いいですか??」

この時、ライターの心は踊りに踊っていた。るんるん♪

厨房に入ってサッ、サッ、と作業をする北村さん。

・・・手早い。

待つこと数分。

ジャジャジャーーーン!!

ライター美緑

「え!もう出来上がり!?あっという間。」

お母さん
「そうじゃないとお客さん待たせるからね」
ライター美緑

「うわ~!この鉄板がまた、いいですね」

北村さん

「そうやろ?鉄板も年季入っとるし、人にも年季入っとるわ(笑)」

ライター美緑

「だから美味しさが増すのか・・・。いっただきまーす!!」

スパゲッティーを持ち上げると、湯気が立ち込める!アツアツの麺を口に運ぶ。

もちろんハフハフしちゃうよね~!

ん??なんか甘みがある。全然酸味がない!!

まろやか~で、何とも言えないうまみがある。

麺がもっちもち!これこれ!!なんだか懐かしいこの味!!

ライター美緑

「美味しい~っ!!」

北村さん

「本当かいね?(笑)」

いや。マジです。本気です。

大げさすぎて、嘘くさい?そう。よく言われます。でも本心なんですーーー!!涙

ライター美緑

「これ、ちょっと甘みが出てるのは、何入れてるんですか?」

北村さん

ケチャップだけや。

ライター美緑

「絶対ケチャップだけじゃないですよね!?」

北村さん

・・・砂糖(ニヤリ)

ライター美緑

「ちょっとー!全然、教えてくれないじゃないですか!!(笑)」

上に乗っているサックサクでジューシーなカツも作り置きはしておらず、注文が来たらその都度衣をつけて揚げていく。なんていう手間暇っ!!

しかし作り置きウンヌンで驚かれちゃー、まだまだです。

味吉亭では冷凍食品も使っていないのである!

なんだって!?

「ライター美緑の家には電子レンジがありません。」そういうと「どうやって生活しているの!?」と、すべての知り合いに驚かれるほど冷凍食品が溢れ返っているこの現代で!?

しかもしかもっ。カレーのルーですら手作りなのだから、その味の唯一性は保証されている。

これこそ、ここでしか食べられない味なのです!間違いなく絶メシ・・・

 

でも北村さんは、「これがうちにとっての普通やし、何も変わったことなんてしてないんや。」と、さらっと言えてしまうのです。

味吉亭の「普通」こそが常連さんを虜にしてしまう味になるんだな~。

納得です!!

ライター美緑

「この味を残して欲しいって常連さんは多いと思うんですけど・・・」

北村さん

「そうやねぇ。でも後継者なんておらんから。ただ、料理の専門学校から電話があって、うちの生徒が味吉亭さんのところで学びたいって言ってるんですけど、研修させてもらえないかって問い合わせが来たことあったわ。」

ライター美緑

「!!それ、どうなったんですか?」

北村さん

「見てもらったら分かる通り、うちの厨房は狭くて、横で見ながら学んだり、教えたりすることが出来ないから。

営業中に居てもらっても邪魔になるだけやし・・・」

ライター美緑

「実現はしなかったんですね・・・」

北村さん

「教える時間もないからね」

ライター美緑

「次は、カレー食べに来ます!」

北村さん

「顔、覚えとらんかもしれんわ(笑)」

そんなおちゃめな返しもなんだか洋食屋さんならではの家庭的なあたたかさが感じられる。

いや、本当に覚えてもらえてないかもしれない・・・。

「ただ普通の事をしとるだけや」そういいながら、北村さんはいつものように常連さんに味吉亭の味を提供している。42年同じことを変えずにやっていく事の大変さを微塵も感じさせない笑顔と味が、多くのお客さんを呼び込んでいるのだろう。

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