圧倒的な歴史と値段!串カツ草間

No.25

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素晴らしい老舗ここにあり!

七尾で一番古い洋食屋!?

コスパの神に会いに潜入!!

七尾市役所近く。大通りからは少し入る道沿いに、やもすると見逃してしまいそうな入り口を構えているのが今回お邪魔させて頂く「串カツ草間」だ。
なんでも、ここ七尾ではかなり歴史のある洋食屋さんらしい。わくわくしながら、いざ!!入店っ

(取材:絶メシ!いしかわ調査隊 ライター名:美緑トモハル)

50年を超える歴史にさまざまなドラマが・・・

ライター美緑
「こんにちはー!今日はよろしくお願いします!!」
従子さん
「はいはい。」
ライター美緑
「わ~!素敵な店内ですね!このお店はどれぐらい営業されているんですか?」
従子さん

「主人のお父さんが先代で、そのお店の創業がS28年。そこからS38年に欧風料理 草間会館が出来て。お嫁に来た時は、草間会館を手伝っていたんですけど、S49年に独立して今のお店を出して、ここの場所にはS59年からいるんです。だから約40年くらいかな。」

歴史が苦手な美緑。数字が多くて覚えられず・・・
従子さん
「当時はね、お店を始めてみて、仕事をすればするほど儲かるんだと思いました。」
ライター美緑
「えー!?」
従子さん
「いや、働いた分だけ、自分の利益になるじゃないですか?」
ライター美緑

「独立時からお客さんがついてくれていたって事ですよね?草間会館のお客さんも来られたりしていたんですか?」

従子さん

「そういう方もいらっしゃるし、主人の同級生なんかもたくさん来てくれたし。それでも苦労はしましたよ。子供を2人抱えながら、朝から晩まで働いてましたから。ただ近くに大型スーパーができてからはそうは行かなくなってきましたね。」

ライター美緑
「それは…大型スーパーができて外食が衰退したとか?」
従子さん
「さらにコンビニが出来てね。まず、お弁当の注文がなくなる。若い人はコンビニかチェーン店かの生活でしょ?だからこういうお店にっていう発想がない。」
ライター美緑
「そこからちょっとずつ・・・?」
従子さん
「人の流れがまず変わってしまった。お客さんもほとんど常連さんだけになったね。」

先代のお店である草間会館はどちらかというと裕福なお客さんが多かった。草間さんご夫婦は、自分たちのお店は出来るだけ多くの方に来てもらいやすいようにと言う考えがあったらしい。
当時では珍しかった欧風料理。しかしそのメニューは沢山のお客さまに愛された。

お母さんに話を聞いていると、そっと当時のメニューを差し出してくれるお父さんの微笑む姿が。
おおお。気配が感じられなかった・・・(笑)

従子さん
「昔、私らが商売したなりのメニューです。」
ライター美緑

「すごい綺麗にとってある!!洒落てる!令和でも通用する可愛さですよ。えー、串カツが40円!?エビフライは時価なんだ・・・」

従子さん
「その当時は冷凍なんてなかったから高級やったね。今では冷凍で立派なのがあるけど。」
ライター美緑
「このメニューはいつまで使ってたんですか?」
従子さん

「7年位。移転する前まで使ってた。その間に、洋食だけじゃとてもじゃないけどってなってきて。当時はお客さんが洋食屋さんだったらお酒が飲めないって勝手に思い込んでしまった事もあって・・・それで増えていったのが、洋食以外お酒も飲めるようなメニューです。(笑)」

21歳で金沢から嫁いだ従子さん。同じ石川県でも方言が違う事で、辛かった時期もあったという。飲食の経験はなかったが、両親が留守がちだったこともあり、小さいころから自炊を強いられていた環境で育ったため、料理に抵抗はなかったそう。分からないことは聞きなさいと言う教えもあって、ご近所のおばさまたちの知恵を借りて自炊していたのだとか。
ライター美緑
「ご近所付き合いって、当時は強かったですもんね。」
従子さん

「それもあって、自分たちでお店始めてからまず近所のお年寄りと仲良くなった。そうする事によって、七尾の味を教えてもらったり。みんなに聞くのが1番、習うのが1番って。」

違う土地に若くして嫁いだお嬢様は、おしゃべりも上手で、きっと周りの人との付き合い方も上手だったのだろうと想像させてくれる。

値段設定に戸惑う事このうえない状況に、頬張る串カツのうまさよ・・・

と、店内奥から、忍びかと思うくらいそっと戻ってくるお父さん(笑)
その手には当時使っていた輪島塗りのお弁当箱が!!

うわー!歓喜に沸く絶メシ隊一同。
伝統工芸の息の長いことに驚く。50年使われているとは思えないほどのキレイさだ。何度も塗り直し、その度に新品のようになって戻ってくるそう。

従子さん

「今でも年に2回ほど、会合に使うのにこれでお出しすると、懐かしいって皆さんおっしゃいます。」

哲男さん
「もう今は高くて作られんから。」
ライター美緑
「今、何個ほど残っているんですか?」
哲男さん
「今で・・・30個ほどかな?」
ライター美緑
「当時は100個位?」
哲男さん
「100じゃきかんね。その当時は弁当も忙しかったからね。」
当時のお弁当には必ずミンチボールが入っていて、一度は食べてみたい憧れの味としてお客さんの間で話題となっていた。
従子さん
「偉くなっていっぺんは草間に食べに行くのがステータスだったみたい(笑)」
ライター美緑
「憧れのお弁当だったんですね~。」
従子さん
「串カツ5本の定食が250円の時代でしたね。」
ライター美緑
「今の串カツ定食はおいくらなんですか?」
従子さん
(大笑いしながら、メニューボードを見せてくれた)
ライター美緑
「ごごごごご、500円!?」

串カツ草間では通常串カツ1本が110円である・・・
それが5本出てくる時点ですでに計算が合わないのである・・・
はっ!!!
価格設定のおかしさにこのご夫婦が気付いて軌道修正される前に駆け込むことをお勧めしよう!

哲男さん
「はいっ」

またもなんの前触れもなく目の前に現れたのは、たった今噂していた「ソレ」である・・・
先ほどからのタイミングの良さと言い、お父さんの静かなおもてなしが心地よくもあり。
もう何も考えずに、温かいうちにいただきます!!

串カツは最初は塩がおすすめらしいので、塩で。
うん!!確かに、お肉や玉ねぎの甘さが引き立てられます!
贅沢だわ~。冬瓜の煮物はやや甘めで串カツとの相性バツグン!!
お母さんが漬けたナスは最高の漬かり具合・・・これが・・・500円の底力・・・
うますぎる~~~~(涙)

なんでも、創業以来、油はラードを使用しているのだとか。サックサクです。
これでワンコイン。凄すぎる・・・

ライター美緑
「この串カツ定食がワンコインで食べられるって、知らない方多かったりしません?」
従子さん
「20〜30代で接点ない方は知らないと思いますね」
哲男さん
「だからね、なかなか知らない人が来ないから、来たときはこっちもびっくりします。」
ライター美緑
「・・・確かに。。」
みなさん。草間さんご夫婦に初対面でも驚かないような免疫をつけに足を運びましょう(笑)

ん?カウンター奥の棚にある大きなフルーツ絞り器を発見!
お酒好きのみろくは見逃しません(笑)美味しいお酒が飲めるお店にはあるんですよ、これ。

従子さん

「あぁ、これ?お父さんが昔東京に行ったときに見て、『これだ!』って、帰って来てからすぐに注文したんですよ(笑)」

ライター美緑

「メニューもとてもお洒落だし、当時としてはこのグレープフルーツ等を絞るジューサーなんて、ほとんど無かったものですよね?流行りに敏感ですよね~。」

哲男さん

「流行りっていうより、美味しいものをね。紹興酒もカメと瓶では味が全然違うからね。それ飲むと瓶には戻れんってカメを買いました。」

店内入り口付近に、大きなカメが。
ライター美緑
「でっかいカメ!!!こだわってる~!! 美味しいものはたくさん食べ歩いてきた?」
哲男さん
「そうやね。」
ライター美緑
「お母さんは一緒に行かなかったんですか?」
従子さん
「常に、金魚のフンです。」
ライター美緑
「かわいいっ(笑)2人は味覚も似ている?」
哲男さん
「そうですね。だから、食べに行っても絶対同じものは頼まないもん。」

寡黙だったお父さんが一瞬、饒舌に!!
人がキラキラと瞳を輝かせて話す瞬間はやはり魅力的だなーと思いました。

歴史ある「串カツ草間」の未来は・・・?夫婦の絶妙な空気感。これぞ阿吽の呼吸

洋食担当が哲男さんで、和食担当が従子さん。お弁当のメニューは2人の腕で出来上がっている。
ライター美緑
「お弁当の中身は担当が違うんですよね?相談してメニューを決めるんですか?」
従子さん
「好き勝手に作っとる(笑)」
ライター美緑

「えー!!だって、同じような食材がかぶったりしません?それとも・・・もしかして、なんとなくだけど、お父さんが作るものが分かったりして?」

従子さん
「分かるわ(笑)」

以心伝心~!!どんだけ~~~!!
お弁当のお値段がまた・・・1個650円ですって・・・しかも。
配達料も頂いてないんだとか。これは都市伝説かなにかでしょうか??(笑)

ライター美緑
「常連さんの多いこのお店を、お子さんが継いだりは?」
従子さん

「そうやね。上の子は金沢の洋食屋さんに修行に行ったり東京のデパ地下とかに行ったりしてたけど・・・今は百姓してます。」

ライター美緑

「食材の方!じゃあ全然違うわけでもないですよね。希望としては?お店を継いで欲しいって気持ちは。」

従子さん
「うーん。別に。好きなことをすればいいと思ってるし。」
ライター美緑
「そういう直接的な話はしたことは?」
従子さん
「ないね。でも、飲食店でどこどこ行ったよ~みたいな話はしますけどね。」
ライター美緑
「誘われるの待ってたりするんじゃないですか?」
従子さん
「いやいや。一回東京から戻ってはきたけど、合わない(笑)」
ライター美緑

「そっかー・・・。親子だと難しい部分ありますよね。遠慮がない分、ぶつかることが多いですし。でも子供っていうのは言えないけどどこかで心配もしてると思いますし・・・」

哲男さん
(厨房へと姿が消えていく)
おとうさーーーん!!
従子さん

「(笑)七尾でたくさんのお弁当屋さんがあっても、うちに注文してくれている人もいらっしゃるし、お客さんがいる限りはね、頑張って二人でやろうかなって思ってます。」

寡黙だけれど、笑顔が素敵な哲男さん。対してお話上手な従子さん。とてもバランスの取れた2人が作り出す老舗料理の味と雰囲気からは、まだまだ現役で七尾の飲食を盛り上げていくパワーを感じました!
まさしく「絶メシ」。出来る事なら、歴史あるこのお店の味が無くならないことを祈って。
ありがとうございました!

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