開業54年の底力!
夜中でもしっかり食事が出来る
中華飯店「天和」
金沢市の繁華街である片町オーロラビルに、知る人ぞ知る・・・と言われるお店が存在する。それが今回の取材先、「中華飯店 天和(てんほう)」さんだ。私たちが訪れた時間は夕方頃。ビル内はまだ薄暗く、お店の前に来るまで本当に営業しているのか疑うほどだった。店構え。どうした、天和!!!こんなビル内にひっそりとたたずんでいるかと思いきや めちゃくちゃ主張しているじゃないかっ。これは期待しかないぞ。わくわく。
朗らかな口調とは対照的。命がけで満州から引き揚げた幼少時代
店主の油野さんは、幼少期に満州で終戦を迎え、昭和21年9月に長崎の佐世保に引き揚げてきた。引き揚げ当時、人数が多いと大変だからと、普通は多くても 2〜3人の子供以外は残してくるところを、油野さんの両親は5人の子供すべてを連れ出した。しかしそれは容易な事ではなく、引き上げた1年後には母親が亡くなってしまったという。
結婚からわずか1ヶ月!?中華飯店に決めてからのスピード開業!お客様あっての「天和」
開業して54年。場所を移すことなくずっとオーロラビルで営業を続けてきた油野さん。ビル内は飲み屋さんが多いイメージがあるが、実は昔はお寿司屋さんやうどん屋さんなど飲食のお店ばかりだった。それがどんどんと減っていき、十数年たった今では、飲み屋さんの中に中華飯店があるという構図となってしまったそう。
実は油野さんはこう見えて多趣味なのである。
結婚前には自前のヨットを持っていた。当時、ヨットは珍しく自身が取材を受けた時の新聞の切り抜きが綺麗に取ってある。航海の記事などが何枚も切り抜かれていて、中には「太平洋ひとりぼっち」という、映画の撮影の為に出演俳優である石原裕次郎さんにヨット教室を施したという記事もあった。
店内には娘さんとヨットの上での写真が飾られている。娘さんキレイ!お父さん・・・目、つむっちゃってるな。そんなことを考えているとあっという間にラーメンと餃子が目の前に現れていた。おっと。まだまだ取材中なのです!!
あっさりとしている醤油ベースのスープ。優しい味!昔ながらの中華麺で飲んだ後のシメに本当に最高!
餃子はビールと食べたいです・・・思わず頼んでしまうところでした ・・・危ない危ない・・・実はこの日、天和さんは2軒目の取材でしたがミロク。やりました。平らげました。この仕事を続けていくと、いつか大食い YouTuber に転身できてしまうかもしれません。・・・ごめんなさい、嘘です。でも、我ながら全て食べ切ったことに驚いたのは本当です!
訪れた閉店危機に分かった常連さんたちの気持ち
実は一度お店を閉店しようとしたことがあった。狭い厨房の中の立ち仕事で油野さんが足を痛め手術をしたのだ。それが今から7〜8年前。10か月の入院生活だったが、当時のオーナーさんが『まだまだ頑張って欲しい』と家賃を安くしてくれた。その応援もあって今も続けている。
文字数の関係上割愛してしまったが、骨董の話になると饒舌になる油野さん。美智子さん曰く、趣味の多さに隣で見ていると楽しくて飽きないそう。大変なこともあったと思うが、今回の取材ではそんな素振りを見せる事も無かった。「片町が一番栄えていた時にここで商売が出来てすごく良かった」好きなことに情熱を惜しまない姿勢は、この場所で長年続けているお店に対しても例外ではない。油野さんにとって、一番の趣味は「天和」さんそのものなのかもしれない。楽しい取材をありがとうございました!ますますの「天和」さんのご活躍を楽しみにしています!!