「小松でトレーラーハウスと言えば?」という
クイズがあるとしたら
ほとんどの人が答えられるであろうお店
「アミ―ゴアミ」!
「小松でトレーラーハウスと言えば?」という
クイズがあるとしたら
ほとんどの人が答えられるであろうお店
「アミ―ゴアミ」!
小松市、旧8号線沿いに「トレーラーハウス」で営業しているなかなか有名なお店、それが「アミ―ゴアミ」である。噂では矢沢永吉さんの大ファンであるとの事。ふむふむ。きっと店内は、めっちゃロカビリーで、オラオラ系で、店主が強面なんでしょう!?怖いよー(涙)うーん、でもステーキは食べたいし。ステーキだしな。ステーキ・・・よし!!本当に美味しいのか確かめに行ってきます!!(←おい、何様だ!)
( 取材: 絶メシ!いしかわ調査隊 ライター名: 美緑トモハル)
とうちゃーく!いやあ、見慣れた外観。そう、実は気になっていたお店・・・でもステーキハウスって一人では入りづらくて・・・。交友関係が極狭なワタクシは特にね。だから、指をくわえてこの時を待っていたのであります。(来たかったんじゃん!!)駐車場に車を停めると、入り口からひょこっと人影が
!!!ん?
・・・めっちゃ美人じゃね!?!?
「こ、こんにちは!今日はよろしくお願いします!!」(強面よ、どこにいる??キョロキョロ。)
「よろしくお願いします。こういう宣伝?出したことないし…どうしたらいい?」
「取材受けていただけると思わなくて嬉しいです!長いですよね、このお店。」
「16年です。」
「おぉ。長い・・・早速なんですけど、なんで、トレーラーハウスで始めたんですか?」
「えっと、なんていうの…たまたまトレーラーハウスに縁があったって言うことね。」
「たまたま・・・お店を始めるのに、トレーラーハウスを探していたとか?」
「これが不思議なんだけど、最初からお店をやろうとかじゃなくて、知り合いが長野でね、トレーラーハウスでお店やってるところがあるから見てこない?って誘ってくれて。何人かで行くって時に、1人が タクシーの運転手で、車の運転なら得意やから長野まで乗せて行ってやるわって。で、その長野のトレーラーハウスはハンバーガーの店なんだけど、他にもステーキ屋もしてるからって、そこに食べに行って。そしたらまたその人が、『俺東京にあるステーキ屋で勤めとったことあるんや』って言い始めて。で、『この長野のステーキはダメやわ。今からすぐ東京の店まで、連れてってあげる!』って。」
「すごい行動力…。」
「それでステーキいいなってその時思って。トレーラーハウスでステーキしたらいいなって。」
お店の横には自宅があり、その家を建てたときに、敷地全部をコンクリートにしたら高くなるからと、スペースを空けてあった。当時、道を挟んで向かい側にあったスポーツショップには、かなりお客さんが入っていて、それを見ていると、ここは何か商売をしたらいい場所なんじゃないかと思ったらしい。その後トレーラーハウスと出会い、運んでみると空けてあった場所にピタッとハマったのを目の当たりにした時、これは『運命』だと感じたそう。
運命だと思う事は他にもあった。何か商売でも始めないと、と思っていた矢先にトレーラーハウスとの出会いがあった。実は久恵さんは、スナック、焼肉屋、居酒屋など飲食の経営経験が豊富で、この出会いによって始めたステーキハウスでは、培ってきたノウハウを最大限に生かすことが出来ているように思えた。全てがこのお店を始める為の事だったかのようだ。
「ステーキ屋さんをするなら、長野で見てきたような、若い人でも誰でも食べれて、お昼からでも気軽に行けるようなお店にしたかった。ボリュームたっぷりで、値段もちょっと下げてね。」
来てくれるお客さんは地元の方が多いのかと思いきや、そうではないようで。ほとんどが金沢や福井かららしい。小松と言う土地柄なのか、「ステーキ」というジャンルはやはり、高級なイメージで馴染まなかった。どちらかと言うと、「わざわざ食べにくる目的の店」の位置づけになっている。そこは久恵さんも誤算だったのかも知れない。でもそれは、根強いファンが多い店にあるフレーズで、むしろ素晴らしい誤算だったのではないかと思った。
「まあ、人が人を呼んで。ステーキにしては値段も安いのと、ボリュームたっぷり食べれるのとね。うちのは、シンプルでも美味しいって。お肉だけなのに、16年ね。」
「なかなか飲食で10年の壁は超えられないと思います。すごいです!コロナの影響はありましたか?」
「最初はそんなに影響ってなかった気がしてたけど、やっぱりお昼のお客さんが多くなった。以前は夜11時まで営業していたけど、今もう9時半頃には閉めてます。」
「そうなんですね・・・ 久恵さんは、最初からずっとお1人でやられてるんですか。」
「5年くらい前はアルバイトもお願いしてましたけど、今はひとりですね。」
「大変じゃないですか?」
「ステーキって仕込みがいらないでしょう。本当に何にもいらないんです、すぐ出来るんで。他の商売だったら、あれもこれも仕入れんなん、朝市場行かんなんって色々あるけどね。」
「そうなんだ!」
「だから一人で出来る。今となったらこのちっちゃいお店だけだから、1人で十分。」
店内を見回すと、噂通り矢沢永吉さんだらけで、一度は触れておかないといけない!!(笑)
「久恵さんは、矢沢永吉さんのファンなんですか?」
「元々は私じゃなく、手伝ってくれていた別の人がファンだったの。もう、その人はいないけど、でも、それきっかけでファンになって、15年くらいかな。矢沢ファン繋がりのお客さんは、チケット取れたって報告に来てくれたりする。」
「仲良しだ(笑)同じ趣味の人たちと繋がれるの楽しいですね。矢沢さんファンだと言う事で、もっとロカビリーなお店かと思ってました・・・でも違いました・・・(笑)」
オープン当初から通ってくれる常連さんも多く、つい最近、連日来てくれるお客さんがいたと教えてくれた。詳しく聞いてみると、入院予定の方で、その前に体力と気力をつけたいからと、一週間、毎日通っていたそうだ。それくらい、常連さんにとっては元気になれる大切な味なのだろう。
「あとね、常連さんで、お肉屋さんやってる人が来るのね。不思議よね。」
「へー!肉屋が通うステーキハウス。・・・なんか、認められてる気がする・・・(笑)」
「このステーキの良さ、なにか秘訣ってあるんですか。」
「そうね・・・企業秘密みたいなのは、あります。」
「企業秘密・・・知りたい。」
「教えられない(笑)」
「ですよねー!では、こだわってるポイントってあるんですか?」
「こだわり…やっぱ厚みね、厚み。肉はやっぱ厚くないとダメ。それと、シンプル。」
「シンプル・・・タレとかってあるんですか?自家製のタレだったりとか?」
「ないよ。まずタレがないから。本当にシンプル。おろしたニンニクに醤油。それだけ。」
「へー!そんなにシンプルなんだ。ずっとそれで?」
「オープンからそのまま、何にも変えてない。それでね、最近皆さん、付け合わせのキャベツが美味しいって食べてくれる。うちでしても、こんなんならんって、。」
「なんでですか?何かしてます?」
「ただのスーパーで買ったキャベツなんだけど、キャベツのね、美味しくする方法。テレビでやってたの。」
「ほう。」
「お湯につけるって。」
「!!あ、企業秘密!?大丈夫ですか!?」
「あ、でもキャベツだから。お肉じゃないから!」
「なるほど(笑)」
ステーキ屋さんがブームになった数年前。その時には、嬉しいことに相乗効果がありお客さんが増え忙しかったと言う。そんなブームの火付け役となったお店の今は・・・やはり飲食は難しい。
「久恵さん、メニューが見たいです!!」
「あ、出てなかったね。はい。」
「これもシンプル(笑)このメニューのグラム数ですけど、1番人気とかおすすめは?」
「500、600g皆さん食べますよ。」
「え!?」
「でも今、お肉の値段がぐっと上がってしまって。本当はそれくらいをお薦めしたいんだけど。うちは400gからご飯食べ放題になってるしね。もし、600gでご飯何杯も食べたら…利益は薄いわね(笑)だから最近は200とか300がおすすめになってくるかな。」
「なるほど。お子さん連れの方は、ハンバーグとか。」
「それがね、びっくりするよ。子供もお肉、食べるよ。」
「贅沢〜(笑)あー、もう今、すごく食べたい…出してもらおうかな…」
「うんうん。どれにします?」
「どうしようかな。多い方がいいと思う!!映え!!」(←自分が食べたいだけである)
「でかいのは、いいよ~(笑)」
この日は午後にお邪魔させてもらった。晴れている秋の午後。店内の装飾は可愛らしい雰囲気で、その中に西日が差し込み、すごく暖かな時間が流れていた。記事冒頭で書きなぐったお店のイメージ。ロカビリーでもオラオラ系でも、強面もいなくて・・・。冒頭のあの数行を打ち込んだ自分を、心の中で叱っておきました・・・ごめんなさい・・・
「すぐ出来るよー!はい、まずキャベツね。」
自分を叱責している時間も短く、あっという間にテーブルに運ばれてきたのはシンプルキャベツ。
「千切りキャベツだー。むしゃむしゃ・・・お、確かに、、甘みもあるし、シャキシャキしてて、美味しい。」
「はい、ここに置くねー。」
と、運ばれてきたのは紛れもなく
これぞ、ステー―キ!!
心が踊りました。ひとりで平らげてやりたい。そう思っている自分がいたことをここで告白しておきます・・・
これぞ、映え!?ぶ、ぶあちぃぃぃ!!肉やん!!(←ほかに何がある?)抑えきれない衝動にかられ、肉を目の前に、動物の本能が目覚めます。おもむろにナイフを入れ、口に運ぶまでの時間が長く感じるほどに。あぁ。人間って、欲の塊なのね。
そしてヒトクチ。
『うんまっ!!』
はい、どこいった語彙力。本当にシンプル。“おろしにんにく”に“醤油”のみ。醤油を発見した日本人よ。あなた、天才!!未来に貢献しているよ!!塩もいいけど、醤油やわ。方言、丸出しやわ。醤油までも褒めたくなるわ。ほどよい噛み応え。赤みの肉。噛むほどに味わいが口の中に広がります。
でね、キャベツとの相性がまたいいのよ。キャベツのおかわり、分かるわー。さっぱりする、で、またステーキが欲しくなる。
エンドレス!!!
秒でした。お皿がキレイになるなんて、秒です。。。・・・正直。
おかわりしたいほどでしたー。贅沢~(笑)
「ごちそうさまでしたー!美味しすぎた・・・ちょっとまだお伺いしたいのですが、この最高なお店は、久恵さんの次に繋げるとか考えてらっしゃるんですか?」
「アミちゃんがやりたいって言ってくれてるけど・・・。」
「アミちゃん!娘さんですか?今は、お手伝いとか?」
「手伝ってはないです。私ね、高齢出産だったの。その娘が今20代で若いから、まだ出来ないかなって。 私も本当はこの歳でこんなんやっとるのおかしいし。」
「おかしくないですよ!全然おかしくない。」
「お客さん、みんなやめんといてって言う。」
「そうですよ。」
16年前。久恵さんは小さなアミちゃんを連れてこのお店をオープンさせた。お勤め経験は無かった。トレーラーハウス、ステーキ。まさにこの出会いは「運命」と言わざるを得ない。
「でも、みんなそうよ、みんな運命って自分でわからないだけ。」
「アミちゃんにとっても、このお店はちっちゃい時からの思い出の場所なんですね。」
「そうね。で、私としても、アミちゃんの形になるものを何か残さなきゃと思って。跡を継ぐとかはその時は別としてね、それでアミって店名に付けたかったの。あと、最初に連れて行って貰った東京のステーキ屋の店名が『エルアミーゴ』だったから。そこからアミーゴを貰って、語呂もよかったので『アミーゴアミ』と。」
「繋がった・・・これはじゃあもうずっと!残しとかなきゃダメですね。このお店は!アミちゃんが継ぐ継がないとかじゃなくて、久恵さんが辞めるのはイメージつかないし。」
「そうね。テレビなんか見てると80過ぎてもまだやってる人もしね。」
「やってます!まだまだです!!」
「まだやらなきゃなんないかな、うん。」
「だって元気溢れてるもん。」
「やっぱお肉よ!肉はパワー食だから。」
久恵さんにこのお店を始めて辛いことが無かったかを聞いてみた。しかし「辛かった思い出はないかな。今までいろんなことをやって来たけど、私にはこれ以上のものは無い。」と、カッコイイ言葉が返ってきた。歳を重ねても、女性はとても魅力的になれるのだと教えてもらった気がします!ありがとうございました!!また行きます!
No.31
アミ―ゴアミ(あみーごあみ)
0761-24-6555
11:00~14:00 17:00~21:30
不定休
石川県小松市矢崎町丁1-1
粟津駅から1,875m
絶メシ店をご利用の皆さまへ
絶メシ店によっては、日によって営業時間が前後したり、定休日以外もお休みしたりすることもございます。
そんな時でも温かく見守っていただき、また別の機会に足をお運びいただけますと幸いです。