昭和初期から、
小松の食を支えてきた、
大衆食堂の現在。
昭和初期から、
小松の食を支えてきた、
大衆食堂の現在。
小松市栗津駅の近く、旧8号線沿いの『駒信食堂』は早い・安いをモットーにした大衆食堂。深夜3時まで営業しており、中華料理をはじめご飯物などを提供しているが、中でもうどんが旨いと評判とのこと。また、近隣の人はもちろん片山津温泉から夜な夜な店を訪れる人も多いのだとか。そんな愛され店のうどんを味わいに…味を絶やすわけにはいかないっと! 今回もまた絶メシ調査隊・寺田が現地へ向かいました。
(取材:絶メシ!いしかわ調査隊 ライター名:寺田尚人)
「あぁ!お客さんかと思いまして。どうぞどうぞ中に」っと、声をかけてくれたの現店主の永山大(だい)さんだった。
「よろしくお願いします」と店内に。中はカウンターが10席ほどと、お座敷が二つ、壁にはお客さんたちの写真が飾られていました。「自分カメラが趣味なんで、たまに写真撮って飾ってるんよ」と大さん。笑顔の溢れる写真からも、この店の愛され具合が伝わってきます。ハロウィーンコスプレをして楽しむお客さんの写真の横に気になる写真を発見。
そこであることを思い出す、調査員寺田。
先代の永山辰雄(たつお)さんは今年79歳。それでも、退院したら仕込みくらいは手伝いたいと考えているようで、店への思い入れの強さをひしひしと感じる。そんな先代から料理を学んだ2代目の大さん。自身も務めていた会社を辞めて地元の飲食店や居酒屋などで修業。酒を楽しんで飲めるようにしたいと居酒屋メニューも充実させていった。仕込みをはじめ、一手間、二手間かけるが特別なことは特にないと話すが、その仕込みや手間は、辰雄さん譲りで妥協はない。調理に使う火力一つとっても細かなこだわりが垣間見える。店の雰囲気も当時の面影を残しながら、楽しく食事ができるようにと心掛け。モットーでもある安く・早くも忘れない。
10種類以上のうどんから、今回は一押しの「肉うどん」700円をオーダー。食材の分量や組み合わせを計算し、先代が生み出した自慢の一品だ。ウルメやサバ節、昆布をふんだんに使ったまろやかな味わいの出汁に肉の旨味がとけ込む。また、創業当時から取引先を含め、使っている食材を変えていないという。
ツルッと程よい腰のある細めの麺。しだいに甘味のある優しい味わいが体中にしみわたるぅ~
そう言って大さんが見せてくれたのは、父辰雄さんの写真。
右の写真には、若き日の大さんの姿も。
先代の辰雄さんは、中学卒業後、食べていくためにと飲食の道に進み金沢市内の中華料理店で修業。生まれ育った小松に戻り20代で店を始めたという。当時は、先代と同じように「モノ作りに勤しむ人達が限られた時間でお腹いっぱいにご飯が食べれるように」との思いで小松界隈には数多くの個人店があったという。しかし、徐々にご主人たちも高齢化、跡継ぎもおらず店舗の数が減っていってしまった…。
「あとこれも貴重な物だと思うよ」と大さんが見せてくれたのは、
「当たり前が突然になくなるのは悲しい、自分で何か一つでも残せるものなら」と大さんは父の味を継いだ。
最後に出前に使っていた岡持ちを見せてもらった。昼時、この岡持ちで届けられる料理を多くの人が心待ちにしていたのだろう。先代が倒れたこともあり、昼の営業は見直された。それでもなお、調査当日も昼にこの店を訪れる人が後を絶たなかった。そんな光景を見て『駒信食堂』は、昭和初期から愛され続ける味を今も、現代に守り伝え続け、昭和の始めから現在まで、あることが当たり前になっている貴重な一軒なのだと改めて感じた。
No.07
駒信食堂(こましんしょくどう)
0761-44-2702
18:00~翌3:00
月曜
石川県小松市蓑輪町 ロ−25−2
小松市粟津駅から400m
絶メシ店をご利用の皆さまへ
絶メシ店によっては、日によって営業時間が前後したり、定休日以外もお休みしたりすることもございます。
そんな時でも温かく見守っていただき、また別の機会に足をお運びいただけますと幸いです。